阪急西宮ガーデンズ(西宮阪急・イズミヤ西宮ガーデンズ店)

兵庫県西宮市に所在するショッピングモール。

1. 概要

 阪急西宮ガーデンズは2007年に阪急百貨店、イズミヤ、TOHOシネマズ西宮OSを核に開業しました。同施設が所在する場所は以前、阪急西宮球場が存在しました。

 最寄駅である西宮北口駅は「阪神間モダニズム」と呼ばれるハイカラで文化的な生活様式を生み出した「山の手の玄関口」にあたり、三宮と梅田のほぼ中間地点に当たります(どちらも西宮北口から14分程度)。商圏は半径10km、170万人(2007年当時)年間来場者数は約2000万人を想定しています。半径10km圏には芦屋、宝塚などの高級住宅街が含まれています。

 開業後の売上は約796億円(2016年度時点)、年間来場者数は約1995万人(同じく2016年度)となっています。これは我が国のショッピングモールの中でも有数の売上を誇っています。売場面積も約70000㎡となっています。

誇らしい

 当施設は立地特性も特徴的ですが、立体駐車場を中心部に配置し、4本のモール専門店街でぐるっと囲み、西側に阪急百貨店、東側にイズミヤがある点も国内のRSCでは特徴的な構造だと言えるでしょう。

 しかし、当初からこのプランで考えられていたわけではなく、一般的な2核1型モール、トライアングル型(モールが3本あり各頂点にサブ核と百貨店、GMSがある形。レイクタウンkaze棟が代表例。)も考えられていました。2核1型の場合、立体駐車場からSCへのアプローチが希薄である点が問題とされました。トライアングル型も、業態の多様性を図れるという点では優れていると言えますが、採用された現在の形と比べると劣る物と言えるでしょう。

 つかしんの記事でも触れましたが、阪神間はRSCの競争が激しい地域です。

yurinchi-plaza.hatenablog.com

その差別化という面でも、多くの業態を集積させるということも必要ですが、構造面での差別化を図るためにこの形にしました。しかし、サーキット型モールには自分の居場所がわかりにくくなるというデメリットも存在するため、4本のモールの内装のデザインコンセプトを異なったものにして、デメリットの克服を目指しました。「他のRSCとは格が違わなければならない」という考え方も当館のデザインコンセプトの一つです。

 阪急西宮ガーデンズは、名前の通り屋上に広場を作ることがコンセプトの具現化のために必要でした。駅前立地のRSCですが、自動車での来館も多く見込めるためスムーズな交通導線が求められます。こういった懸案を解決するには中央部に立体駐車場を設置するのが優れているとされたのです。

 こうすれば、サーキット型モールの利点である「全てがメイン導線になる」というのを十二分に活かせる格好になります。中央部を立体駐車場にしなかった場合、人の流れが分散されにぎわいを創出しにくくなるのです。

 時間の都合上、ゲート館と別館については割愛させていただきます。それでは中に入りましょう。

2. 専門店街 

 1階の様子です。阪急側はダブルディやZARAHOME、北側はniko and...、アメリカンホリック、PLAZA、イズミヤ側はマツモトキヨシ、212キッチンストア、フードコート、南側はPLSTやBAYFLOWが出店しています。構造上仕方ないことなのですが、阪急とイズミヤの食品売場が離れているのはちょっと不便ですね。

空間の使い方が良い

関西でしか見ない系(?)

 2階の阪急側にはSHIPS、阪急の化粧品セレクトショップ、北側にはBEAMS、LOFT、Bshop、イズミヤ側はフランフラン、グラニフ、南側にはバナナ・リパブリック、アフタヌーンティなどが入居しています。駅ビルでお馴染み系が多いですね。

もう閉店したらしい

新業態?(もう閉店したらしい)

おしゃれなじぶんまくら

 3階の阪急側はトミーヒルフィガー、北側はハーブス、パーツクラブ、ライトオン、イズミヤ側は銀座山野楽器、メガネの田中、南側はザ・スーツカンパニー、JINSスターバックスなどです。3階より上にイズミヤの売場はありませんが、便宜上イズミヤ側と表記しています。1、2階と比べるとRSCでも見かける店舗の方が多くなってきます。

 4階はスカイガーデン、レストラン街、ジョーシンブックファーストユニクロなどがあります。レストラン街には、どうとんぼり神座、おぼん de ごはん、回転寿司大起水産などが入居しています。スカイガーデンの雰囲気が好き。本当はもう少し明るいうちに訪問したかったのですが、夜の方が綺麗ですね。ブックファーストの大きさにびっくり。

 5階はTOHOシネマズとサービス系専門店があります。ここのQBハウス、おそらく美容室店舗だった気がします。

西宮球場跡地なのでホームベースがある

このタイプのコンパクト型で2本足は珍しい(?)

 案内サインとかはモザイクモール港北とあまり変わらないような…?阪急らしいってことですかね。紙のフロアガイドの配布はあります。

3. 西宮阪急

 阪急ですね。梅田の本店行ってみたい。

 1階は食品・リビング用品・寝具・進物センター・商品券・結納用品・仏具・生活介護用品・補聴器・生花・催事場があります。食品売り場のうち、生鮮食品と一般食品は阪急デイリーマートという名前が付与されています。KYKや古市庵、RF1モロゾフなどのお馴染み組多め。

 リビング用品とかが1階にあるのは珍しい。食品売場の隣に食器売場があります。 

 2階は婦人服、化粧品、婦人服飾雑貨、婦人靴、アクセサリー、ハンドバッグ、時計、ヘアサロン、ネイルサロンです。富澤商店もあります。エスティーローダー、資生堂、シャネル、アガットなどお馴染みブランドも。

 3階は婦人服・フォーマル・婦人肌着・ウェルネスデイズ(ドラッグストア、スポーツ用品)、イベントスクエア、レストラン、会員サロンがあります。

 レストランは南フランス料理店です。高級住宅街を商圏に擁しているだけあります。写真のTHIS IS 365がドラッグストアです。

 4階は紳士服・紳士洋品雑貨・紳士靴・紳士バッグ・アウトドアライフ・ベビー子供服・玩具・絵本・文具雑貨・阪急ハロードッグ(ペット用品)です。

 阪急ハロードッグ内には生体販売、ペットフード・ウェア販売の他にペットの一時預かりやペットホテル、トリミングなどもできるようです。大型のペット専門店では当たり前にやっているサービスですが、百貨店の直営でやっているのは珍しいような…?これの導入を決めたのは、この付近の住民はペットの飼育数が多いかららしいです。

阪急っぽいエスカレーター

 案内サインとかも落ち着いた雰囲気でした。さす阪急。紙のフロアガイドの配布の有無は謎です。インフォメーションは無人状態でしたし…

4. イズミヤ西宮ガーデンズ

 以前は3階まで直営売場だったようですが、今は2階までに縮小されてます。AFSの大型店みたい。

 1階は食品売場です。白いですね。阪急ベーカリーのパンの扱いがあった気がしますが、阪急ベーカリーのHPには何も情報なし。京阪百貨店でも思いましたが、太巻きが美味しそうです。

 2階はココカラファインと衣料品です。ディスプレイがGMSの中で一番おしゃれなような気がする。検見川浜とか行ってみればよかった…

 フロアガイド。シンプルですね。以前直営だった3階には無印良品が秋に出店するようです。

 

5. お気持ち表明

 わが国でも有数の売上を誇るRSCということでかなりわくわくしてたのですが、案の定凄かったです。個人的にはラゾーナよりこっちが好きです。専門店街も他のRSCとの格の違いを感じさせますし、見慣れたテナントもどこか違うフォーマットでアプローチしているなあと感じました。(お客さんも目の肥えた方が多いでしょうし)モール専門店街の中で驚いたのはブックファーストです。関東だとなんかパッとしない印象があるので…

 阪急百貨店については何度も言うように郊外型百貨店=オワコンという認識をある程度壊してくれます。(芦屋や甲陽園、宝塚などの高級住宅街が商圏にあるので成立するのかも知れないけど…)関東ではららぽーとを信仰してそうなファミリー層が阪急百貨店で買い物しているのは印象的でした。関東圏との志向の違いもあるかと思いますが。今回訪問した百貨店はSC内でありながら、タイプが異なる店舗(奈良は都市型、住道は郊外型・専門店中心、尼崎は食品中心、西宮は郊外型)ばかりでしたが、西宮が一番楽しかったです。

 

今回はここまで。ありがとうございました。